全年代の7割でたんぱく質の目標量達成せず 第80回日本公衆衛生学会総会で発表

株式会社ヘルスケアシステムズ(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:瀧本陽介、以下当社)は、全国の20代~80代の男女を対象に1日あたりのたんぱく質摂取量を尿で測定し、各年代のたんぱく質目標量の達成率と、たんぱく質を目標量摂取できている人の生活習慣との関連性を調査しました。今回の研究成果を2021年12月21日〜23日に開催された「第80回日本公衆衛生学会総会」で発表しました。

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発表内容
発表1
全体で約7割の人がたんぱく質の目標摂取量を達成できていませんでした。今回の調査では、たんぱく質目標量に対する摂取量の達成率で、年代ごとに有意な差は認められませんでした。
発表2
たんぱく質目標量を達成できている人と生活習慣との関連性では、たんぱく質の摂取目標量の達成は、たんぱく質を意識して摂っていることと、女性でBMIが高い人に多く見られ、有意な関連が認められました。
考察とまとめ
全ての年代でたんぱく質の摂取は、目標量に対して不足しており、全体で約7割に至ることが分かりました。全ての年代において生活習慣病やフレイルの発症予防には十分なたんぱく質の摂取が必要な状況であることが明らかになりました。また、生活習慣との関連性の調査から、目標量の達成には、まずたんぱく質の摂取の意識を持つことが重要であることが示唆されました。

※1 目標量は、生活習慣病やフレイルの発症予防を目的にした摂取量のこと。摂取不足を回避するための推奨量とは異なる
(『日本人の食事摂取基準(2020年版)』)

 

コロナ禍の健康維持に向けた たんぱく質への関心の高まり

 

長期化するコロナ禍で社会の健康栄養に対する関心が高まる中、多種多様なたんぱく質を多く含む製品が登場し、市場を賑わせています。
厚生労働省は、2020年4月に生活習慣病やフレイル予防を目的に、たんぱく質摂取目標量の引き上げを行いました。フレイルとは、将来的に日常生活でサポートが必要な要介護状態になるリスクが高い状態のことです。高齢者を対象とした調査では、たんぱく質の摂取不足はフレイルと関連することが報告されており、フレイル予防にたんぱく質の摂取が重要であることが知られています。また、高齢者に限らず、若年や壮年層においても、過度なダイエットや偏食傾向の影響で、たんぱく質の摂取量が低下していると言われています。
 一方で、たんぱく質の目標量と生活習慣についての研究は十分ではなく、年齢・性別・身体活動レベルを鑑みた目標量の達成状況や生活習慣との関連性を調査した報告は多くありません。
 当社は、一人ひとりが自分の身体を知り、生活習慣のミスマッチを無くすことで、健康寿命の延伸と生活の質(QOL)の向上に貢献することを目指しています。2020年に尿からたんぱく質摂取量を測定する郵送型の検査キット「フレミーチェック」を開発し、一般消費者に向けて展開しています。本研究では、この検査キットを利用して、たんぱく質摂取量の年代ごとの目標量の達成率、たんぱく質目標量を達成できている人と生活習慣との関連性について調査しました。

研究の内容と結果

 本研究では、当社の郵送検査キット「フレミーチェック」(たんぱく質充足検査)を利用した一般の日本人男女(21~87歳)315名※2を対象に、郵送で随時尿を送ってもらい、たんぱく質摂取量の生体指標である尿中の尿素窒素を測定し、1日あたりのたんぱく質摂取量を算出しました。
 たんぱく質の摂取目標量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」に記載の年齢、性別、身体活動レベル別の数値を参照に、達成の判定を行いました。
※2 研究の利用に同意を戴いた方

 
①たんぱく質目標量の達成率
 全体で約7割の人が目標量を達成できていませんでした。今回の調査では、たんぱく質目標量に対する摂取量の達成率で、年代ごとに有意な差は認められませんでした。

 
②たんぱく質目標量を達成できている人と生活習慣との関連性

たんぱく質の摂取目標量の達成は、たんぱく質を意識して摂っていることと、女性BMIが高い人に多く見られ、有意な関連が認められました。


 
考察とまとめ

たんぱく質の摂取は、全ての年代で目標量に対して不足しており、全体で約7割の人が不足していることが分かりました。このことから、自分の年代、性別、身体活動レベルに合った目標量を元に、高齢者のみならず、全世代において生活習慣病やフレイルの発症予防には十分なたんぱく質の摂取が必要な状況であると考えられます。また、たんぱく質目標量を達成できている人と生活習慣との関連性の調査から、目標量の達成にはまずたんぱく質の摂取の意識を持つことが重要であることが示唆されました。

今後の展望と課題

本研究は、生活習慣病とフレイル予防を目的にしたたんぱく質の摂取目標量と生活習慣との相関性を調査する初歩として意義がありました。また、郵送の検査キットを活用したことで、リモートで行われた研究のひとつとして、全国地域を網羅する研究においても有効であると考えられます。
 課題としては、今回の研究の対象者は当社の郵送検査サービスを利用した方に限定して行われており、今後は研究の対象を増やして有意差を検討する必要があります。また、主に高齢者にフォーカスして、たんぱく質摂取状況とフレイルとの相関性についても、十分な検討を進めてまいります。
 当社は、生活習慣や行動変容とバイオマーカー※3との相関性を解明し続けるとともに、生活者の毎日の健康に寄り添った検査サービスを展開することで、生活習慣のミスマッチをなくし健康な社会を実現できると考えています。本研究が、日本人の適切な食生活ならびに生活習慣病予防とフレイル予防に貢献出来ると期待しています。

※3 バイオマーカー: 血液や尿などの体液や組織に含まれる物質を使って、未病や疾患の状態などを評価する指標

 

本件に関するお問合せ
株式会社ヘルスケアシステムズ 広報担当 高実子(たかじつこ)
MAIL : pr@hc-sys.jp
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