チチヤス様と県立広島大学様と共同で”多菌種”ヨーグルトの腸内環境改善研究の成果を発表しました


【日本食品科学工学会第70回記念大会で発表】
”多菌種”ヨーグルトで女性の腸内環境改善とミドル層の便のにおいや疲労感改善に成果
チチヤス×県立広島大学と腸内環境検査キットを使って調査



株式会社ヘルスケアシステムズ(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:瀧本 陽介、以下ヘルスケアシステムズ)は、チチヤス株式会社(代表取締役社長:大井太郎、以下 チチヤス)と県立広島大学(学長:森永力)と3者共同で、18歳以上65歳未満の男女60名を対象に8菌種を含む”多菌種”ヨーグルトの腸内環境改善作用と食生活の関連について調査し、女性で腸内の腐敗物質の減少と、45歳以上のミドル層で便臭と疲労感改善が見られたことを発表しました。

プレスリリースはコチラ

発表内容抜粋
8菌種を含む”多菌種”ヨーグルトを摂取することにより、次のことがわかりました。

①女性(18歳以上65歳未満)において尿中インドキシル硫酸※1(腸内細菌由来の腐敗物質のひとつ)が有意に低下
【考察】腸内細菌叢が変化し悪玉菌の増殖がおさえられることで腸内のインドールの産生が低下し、尿中のインドキシル硫酸値が低下した可能性が考えられます。
※1 インドキシル硫酸は、食品たんぱく質由来のトリプトファンが大腸菌やウェルシュ菌などの腸内細菌(いわゆる悪玉菌)によりインドールに変換、肝臓で代謝されたもので、尿中に排泄される。(丹羽利充. “尿毒素による腎・血管障害と向血栓傾向.” 日本血栓止血学会誌 26.3 (2015): 318-322.)

②45歳以上の男女において便のにおいが有意に改善
【考察】便の臭いはインドール・スカトール・アンモニア・硫化水素など悪玉菌が産生する腐敗物質が原因と考えられています(寺田厚, et al. “ヨーグルトの投与が糞便菌叢および腐敗産物生成量に及ぼす影響.” 食品と微生物 10.1 (1993): 29-34.)。今回の調査では、45 歳以上の男女に絞った場合インドキシル硫酸の値において有意な差はなかったため、インドール以外の腐敗物質も減少して便のにおいが改善した可能性が考えられます。

③45歳以上の男女において身体的疲労感スコアが有意に改善
【考察】試験食品に含まれるBB-12™は整腸作用が報告されています。試験食品の摂取により腸内環境が改善し、脳腸相関※2を介して疲労軽減に働いた可能性も考えられます。
※2 乳酸菌やビフィズス菌等のプロバイオティクスは腸内環境を正常に保ち、脳腸相関を介して精神的ストレス軽減などの有益な効果をもたらすことが報告されている。(加藤豪人. “ヒトにおけるプロバイオティクスの有効性と腸内細菌叢との関わり.” 腸内細菌学雑誌 33.4 (2019): 175-189.)

調査の詳細

背景と目的

 近年、特定の乳酸菌の健康効果を検証したヨーグルトが多数登場し、特定の乳酸菌(単一菌)の研究がなされ、ひとり一人の腸内環境に合ったヨーグルトによる腸内環境改善が注目されています。一方で、複数の菌を含む多菌種のヨーグルトによる研究は多くありません。ヘルスケアシステムズは、チチヤスと県立広島大学と共同で、多菌種のヨーグルトの腸内環境改善作用を明らかにすることで、腸内環境に合うヨーグルト選びの選択肢を広げ、もっと気軽に腸内環境改善に取り組んでもらいたいと調査を始めました。

試験内容

 健康な成人男女60名(18歳以上65歳未満)を対象としてチチヤスの多菌種ヨーグルトと、対照として2種の菌のヨーグルトを4週間毎日、1日70gを摂取。摂取前後で、①腸内環境検査(腸内細菌由来の腐敗物質=尿中インドキシル硫酸量)と②排便状況と③VASアンケート(便通、肌の調子など)を調べました。

結果

①多菌種ヨーグルトの摂取により、腸内環境が乱れている方、特に女性においてはインドキシル硫酸量(腸内の腐敗物質)の産生を減少させ、腸内環境の改善に働く可能性が示唆されました【図1】。

②多菌種ヨーグルトの摂取により、45歳以上の男女において便のにおいが有意に改善しており、腸内の腐敗物質が減少している可能性が示唆されました【図2】。

③多菌種ヨーグルトの摂取により、45歳以上の男女において身体的疲労感スコアが有意に改善しており、腸内環境が改善し、脳腸相関を介して疲労軽減に働いた可能性が示唆されました。【図3】。

以上の内容から、複数の菌種を含むヨーグルトの摂取は、腸内環境と疲労感を改善させる可能性が示唆されました。

今後の展望と課題

本調査は、多菌種のヨーグルトの腸内環境改善と生活習慣との相関性を調査する初歩として意義がありました。また、郵送の検査キットを活用したことで、リモートで行われた研究のひとつとして、全国地域を網羅する研究においても有効であると考えられます。
 一方で、本調査では多菌種のヨーグルトの効果のメカニズム解明にまでは至りませんでした。本調査の試験食品に含まれる菌種には、先行研究で健康効果を示す報告があります※3が、複数の菌の相互作用による健康効果の可能性も考えられます。この点については、今後さらなる研究と検討が必要です。

※3 サーモフィルス菌ST9618 は 風邪症状予防、ビフィズス 菌BB-12™️ は整腸作用、パラカセイ菌L. CASEI 431™️ は免疫機能に効果がある報告がされている。

県立広島大学 飯田 忠行先生のコメント

 ヨーグルトとは,国際食品規格で「あらゆる乳酸桿菌属と乳酸球菌のサーモフィラス菌」により発酵したものとされ,欧米では必ずブルガリア菌(桿菌の一種)とサーモフィラス菌で乳を発酵したものと定められています。近年、特定の菌(単一菌)による様々な研究がなされ、健康効果が示されています。本研究では,複数の菌による健康への好影響の可能性が推測されました。複数の菌を合わせて摂ることにより、健康維持・増進に役立つことが期待されます。

当社は、生活習慣や行動変容とバイオマーカーとの相関性を解明し続けるとともに、生活者の毎日の健康に寄り添った検査サービスを展開することで、生活習慣のミスマッチをなくし健康な社会を実現できると考えています。本研究が、日本人の腸内環境研究および改善行動に貢献出来ると期待しています。

 

本件に関するお問合せ
株式会社ヘルスケアシステムズ 広報担当 高実子(たかじつこ)
MAIL : pr@hc-sys.jp
※お問い合わせフォームはこちら

CASE STUDY 事例紹介