生活習慣に関するバイオマーカーを研究するヘルスケアシステムズの研究員による、国内海外のバイオマーカーや生活習慣に関わる学術論文をまとめました。

15-イソプラスタン

15-Isoprostane

“15-イソプラスタン(15-Isoprostane)は、脂質過酸化物の一種で、脂肪酸の酸化により生成される生理活性物質です。特に、アラキドン酸が酸化される過程で生成される15-イソプラスタンは、酸化ストレスの指標として広く用いられています。この化合物は、細胞膜の脂質が活性酸素種(ROS)によって酸化されることによって生成され、細胞や組織の損傷の程度を反映するバイオマーカーとなります。

15-イソプラスタンの測定は、酸化ストレスや過酸化脂質の評価において重要です。特に、動脈硬化、心血管疾患、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)、がん、糖尿病などの疾患における酸化ストレスの関与を評価するために利用されます。尿や血中での15-イソプラスタン濃度測定により、これらの疾患のリスク評価や進行具合のモニタリングが可能となり、抗酸化療法や生活習慣の改善の効果を確認するための指標としても活用されています。”

論文タイトル:
Urinary biomarkers of oxidative status
筆頭著者と所属:
Dora Il’yasova et al., Department of Public Health, University of Alabama at Birmingham
雑誌名:
Clinica Chimica Acta
概要:
本研究では、尿中で測定される酸化ストレスバイオマーカーの有用性が検討された。特に、8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)やイソプロスタンを含む複数のバイオマーカーが焦点となった。これらのバイオマーカーは、DNA損傷や脂質過酸化の指標として機能し、酸化ストレスの全体像を把握するために役立つことが示唆された。また、これらの測定値が個体間および環境要因に応じて変動する可能性があることも明らかとなり、測定時の条件や解釈の注意点が議論された。本研究は、酸化ストレスの評価における尿中バイオマーカーの可能性と限界を明確化し、将来の研究における指針を提供している。
出典情報:
Il’yasova Dら, Urinary biomarkers of oxidative status, Clin Chim Acta, 413(19-20), 1446-1453, DOI: 10.1016/j.cca.2012.06.012. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22683781/
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