生活習慣に関するバイオマーカーを研究するヘルスケアシステムズの研究員による、国内海外のバイオマーカーや生活習慣に関わる学術論文をまとめました。

インターロイキン -6(IL-6)

IL-6

インターロイキン-6(IL-6)は、サイトカインの一種で、免疫応答や炎症反応に関与する重要な分子です。IL-6は、感染症や組織損傷、炎症などのストレス応答において、免疫細胞や内因性細胞から分泌され、急性期反応や抗体産生の調節を行います。また、IL-6は腫瘍細胞の増殖を促進することがあり、がんの進行にも関与しています。

IL-6の測定は、炎症や免疫応答の状態を評価するために広く使用されます。特に、感染症、自己免疫疾患(例:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)、心血管疾患、糖尿病、がんなどの病態において、IL-6は重要なバイオマーカーとされています。また、IL-6は急性期反応の指標としても利用され、特に感染症や外傷後の炎症状態を評価するために有用です。IL-6の測定は、疾患の診断、予後予測、治療効果のモニタリングに役立つだけでなく、免疫療法や抗炎症療法のターゲットとしても注目されています。

論文タイトル:
Rethinking IL-6 and CRP: Why they are more than inflammatory biomarkers, and why it matters
筆頭著者と所属:

Marco Del Giudice, Department of Psychology, University of Turin, Italy

Steven W Gangestad, Department of Psychology, University of New Mexico, USA

雑誌名:
Brain, Behavior, and Immunity
概要:
この論文は、IL-6(インターロイキン6)とCRP(C反応性タンパク質)が単なる炎症マーカーとしての役割を超え、身体のさまざまな生理的過程において重要な役割を果たしていることを再考することを目的としています。著者は、これらの分子が免疫応答や炎症に関与するだけでなく、心血管疾患や精神的健康にも影響を与える可能性があることを示唆しています。特に、IL-6とCRPは、免疫系だけでなく、ホルモン系や神経系との相互作用を通じて健康全般に重要な影響を与えることが強調されています。これにより、炎症性マーカーとしての理解を深め、今後の研究や臨床応用における新たな視点を提供します。
出典情報:
Del Giudice M, Gangestad SW, Rethinking IL-6 and CRP: Why they are more than inflammatory biomarkers, and why it matters, Brain Behav Immun, 2018, 70:61-75. DOI: 10.1016/j.bbi.2018.02.013
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