ペントシジン(Pentosidine)は、糖化終末生成物(AGEs)の一種で、非酵素的な糖化反応によって形成されるクロスリンク型の化合物です。ペントシジンは、糖とタンパク質が結びつくことで生成され、特にコラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリックスタンパク質に蓄積されます。この生成物は、細胞機能の障害や老化、糖尿病などの疾患に関連しており、AGEsによる組織の硬化や機能低下を引き起こす原因となることが知られています。
ペントシジンの測定は、糖尿病や腎疾患、動脈硬化、老化に関連する疾患の評価に利用されます。特に糖尿病患者において、長期間にわたる高血糖状態がペントシジンの生成を促進し、血管や腎臓、眼などの合併症を引き起こす原因となるため、そのモニタリングが重要です。また、ペントシジンは老化や酸化ストレスと関連があり、これを指標として加齢に伴う疾患リスクを評価するためにも使用されます。ペントシジンの測定は、AGEsの蓄積状態を示すため、治療法の効果や疾患進行の監視に役立ちます。
本研究では、閉経後女性における尿中ペントシジン濃度と骨粗鬆症性骨折の有病率との関連性を検討しました。対象は、骨粗鬆症治療を受けていない閉経後女性で、骨折群(n=99)と非骨折群(n=524)に分類されました。尿中ペントシジン濃度は、酵素免疫測定法(ELISA)により測定されました。結果として、骨折群では非骨折群と比較して尿中ペントシジン濃度が有意に高いことが示されました(中央値:骨折群59.0 pmol/mgCr、非骨折群48.0 pmol/mgCr、p<0.001)。多変量ロジスティック回帰分析においても、尿中ペントシジン濃度の上昇は骨折リスクの増加と独立して関連していることが確認されました(オッズ比:1.93、95%信頼区間:1.09–3.41、p=0.024)。これらの結果から、尿中ペントシジン濃度は閉経後女性における骨粗鬆症性骨折の有病率と関連しており、骨折リスク評価の一助となる可能性が示唆されました。
※オッズ比修正あり Correction to: The association of urinary pentosidine levels with the prevalence of osteoporotic fractures in postmenopausal women PMID: 31745626 DOI: 10.1007/s00774-019-01056-2 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31745626/