生活習慣に関するバイオマーカーを研究するヘルスケアシステムズの研究員による、国内海外のバイオマーカーや生活習慣に関わる学術論文をまとめました。

インドキシル硫酸

indoxyl sulfate
インドキシル硫酸は、腸内の腐敗産物であるインドールの代謝物であり、腸内環境の重要なマーカーとして注目されています。腸内細菌がトリプトファンを代謝する過程で生成されるインドールは、肝臓で硫酸抱合され、インドキシル硫酸として腸管や腎臓を通じて体外へ排泄されます。この物質は、腸内環境の変化や腎機能の指標となることから、健康状態の評価や疾病の予測、さらには治療介入の効果検証において研究の対象となっています。
論文タイトル:
Increased urinary indoxyl sulfate (indican): new insights into gut dysbiosis in Parkinson’s disease
筆頭著者と所属:
Erica Cassani et al., University of Milan
雑誌名:
Parkinsonism & Related Disorders
概要:
本研究は、パーキンソン病患者における腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)と尿中インドキシル硫酸(indican)の増加に関する新たな知見を提供している。パーキンソ病患者の尿中indican濃度が健常対照群と比較して有意に高いことが確認され、この現象が腸内の細菌代謝の異常に起因する可能性が示唆された。また、indican濃度とパーキンソン病の臨床症状との関連性についても言及されており、腸内細菌叢の調節が疾患管理の新たな視点を提供する可能性があることが考察された。本研究は、パーキンソン病の病態生理における腸内環境の役割を理解する上で重要な手がかりを提供するものである。
出典情報:
Cassani Eら, Increased urinary indoxyl sulfate (indican): new insights into gut dysbiosis in Parkinson’s disease, Parkinsonism Relat Disord, 21(4), 389-393, DOI: 10.1016/j.parkreldis.2015.02.004. PubMed

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