生活習慣に関するバイオマーカーを研究するヘルスケアシステムズの研究員による、国内海外のバイオマーカーや生活習慣に関わる学術論文をまとめました。

ペントシジン

Pentosidine
“ペントシジン(Pentosidine)は、糖化終末生成物(AGEs)の一種で、非酵素的な糖化反応によって形成されるクロスリンク型の化合物です。ペントシジンは、糖とタンパク質が結びつくことで生成され、特にコラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリックスタンパク質に蓄積されます。この生成物は、細胞機能の障害や老化、糖尿病などの疾患に関連しており、AGEsによる組織の硬化や機能低下を引き起こす原因となることが知られています。

ペントシジンの測定は、糖尿病や腎疾患、動脈硬化、老化に関連する疾患の評価に利用されます。特に糖尿病患者において、長期間にわたる高血糖状態がペントシジンの生成を促進し、血管や腎臓、眼などの合併症を引き起こす原因となるため、そのモニタリングが重要です。また、ペントシジンは老化や酸化ストレスと関連があり、これを指標として加齢に伴う疾患リスクを評価するためにも使用されます。ペントシジンの測定は、AGEsの蓄積状態を示すため、治療法の効果や疾患進行の監視に役立ちます。”

論文タイトル:
Urinary pentosidine improves risk classification using fracture risk assessment tools for postmenopausal women
筆頭著者と所属:
Shiro Tanaka et al., Department of Orthopaedic Surgery, University of Tsukuba, Japan
雑誌名:
Journal of Bone and Mineral Research
概要:
この研究は、尿中ペントシジン濃度が、閉経後女性における骨折リスク評価ツール(FRAXなど)の分類精度を向上させる可能性を検討したものです。研究者らは、ペントシジンが骨粗鬆症性骨折のリスク因子としての有用性を持つかを評価しました。

対象は閉経後女性であり、尿中ペントシジン濃度と骨折リスク評価スコアとの関連が調査されました。結果として、ペントシジン濃度をリスク評価ツールに加えることで、従来のツールよりも正確に骨折リスクを分類できることが示されました。これにより、骨折予防における個別化医療の実現が期待されます。

本研究は、尿中ペントシジンが骨代謝マーカーとして有用であり、骨粗鬆症性骨折のリスク評価に新たな視点を提供する可能性があることを示しています。

出典情報:
Shiro Tanaka, Tatsuhiko Kuroda, Mitsuru Saito, Masataka Shiraki, Urinary pentosidine improves risk classification using fracture risk assessment tools for postmenopausal women, Journal of Bone and Mineral Research, 26(11), 2778–2784, DOI: 10.1002/jbmr.467. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21773990/
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