ナチュラルサイエンス、産婦人科医、栄養士らと共同で妊婦及び胎児の「エクオール」の変化について発表しました(第37回日本女性医学学会学術集会)
【第37回日本女性医学学会学術集会】
妊娠中の「エクオール」産生状況の変化と胎児への「エクオール」移行の可能性を発表
ナチュラルサイエンス、産婦人科医、栄養士らと母体から児への「エクオール」産生状況を共同調査
病気になる前の未病段階に特化した検査マーカーの研究・開発・販売を行う名古屋大学発ベンチャーの株式会社ヘルスケアシステムズ(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:瀧本陽介、以下「当社」)は、敏感肌スキンケアメーカーの株式会社ナチュラルサイエンスと、産婦人科医、栄養士らと共同で、妊婦の腸内環境に着目した研究を推進、腸内環境の変化が及ぼす母体への影響および胎児への影響について検討を行いました。
その結果、妊娠中の「エクオール」の経時変化と、胎児期より母体からの「エクオール」移行がある可能性が示唆されました。本研究成果については、2022年11月12日〜13日に開催された第37回日本女性医学学会学術集会において発表し、全192演題の中から優秀演題賞候補に選ばれました。
- 概要
- 妊娠中の腸内細菌叢の組成は、妊娠初期から後期にかけて大きく変化するとともに、母体だけでなく胎児や出生後の児の健康に影響を与えると考えられている。腸内細菌による大豆イソフラボンの代謝産物である「エクオール」は、エストロゲン活性などを有し、特に女性の健康に影響を及ぼすものである。本研究では腸内代謝産物の1つである「エクオール」に着目し、妊娠初期から出生児の生後1年までの「エクオール」産生状況について縦断的に検討した。
- 発表内容
- ①母の「エクオール」産生状況とダイゼイン摂取量の経時変化(妊娠初期・後期・産後1カ月の比較)
エクオール産生者の割合は妊娠初期に比べ妊娠後期で有意に増加していた。エクオール産生の原料となるダイゼイン摂取量とエクオール産生状況と有意な相関は見られなかった。
(考察)妊娠初期から後期にかけての腸内細菌叢組成の変化が影響した可能性が考えられた。②児の「エクオール」検出状況の経時変化(生後直後・生後半年・1歳)
児のエクオール検出状況については、出生直後に最も多く児より検出された。
(考察)「エクオール」が臍帯血中や母乳、羊水から検出されたとの報告もあり、本研究で出生直後に検出された「エクオール」は母体由来である可能性が考えられた。③母と児のエクオール産生・検出状況の相関
児の生後1年時点でのエクオール産生・検出状況は、母の妊娠後期、産後1ヵ月時のエクオール産生・検出状況共に関連を認めなかった。
(考察)児の腸内環境やエクオール産生状況は成長に伴い変化するため、さらに長期的な検討が必要。
■研究の背景
妊娠中の腸内細菌叢の組成は、妊娠初期から後期にかけて⼤きく変化するとともに、妊娠初期の腸内環境は母親本人だけでなく児の健康に影響すると考えられています。
腸内細菌による大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオール【図1】は、エストロゲン活性などを有し、特に女性の健康に影響を及ぼすものである。妊娠・出産期では、臍帯血や母乳、羊水などにもエクオールが含まれるとの報告があり、母児に何かしらの影響を及ぼしている可能性が考えられます。
そこで、本研究では腸内代謝産物の1つである「エクオール」に着目し、妊娠初期から出生児の生後1年までのエクオール産生状況について縦断的に検討しました。
■研究の内容と結果
本研究は健常な妊婦とその出生児35組を対象とし、母体は、妊娠初期、中期、後期、産後1ヵ月の4回、児は、出生直後、生後半年後、1年後の3回で「エクオール」産生状況の変動を検討しました。
「エクオール」の産生状況については、母児ともに当社の郵送検査キット エクオール検査「ソイチェック」で尿中「エクオール」濃度で判定。大豆イソフラボン摂取量はBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票)で調査しました。
①母のエクオール産生状況とダイゼイン摂取量の経時変化【図2】
エクオール産生者の割合は妊娠初期に比べ妊娠後期で有意に増加していました。
しかしながら、エクオール産生の原料となるダイゼイン摂取量は産後1カ月が最も高く、エクオール産生状況と有意な相関は見られませんでした。
②児のエクオール検出状況の経時変化【図3】
児のエクオール検出状況については、出生直後に最も多くの児より検出されました。離乳⾷開始前の生後半年では低値、大豆製品の摂取も多くなる生後1年では、やや上昇していました。
③母と児のエクオール産生・検出状況の相関【図4】
児の生後1年時点でのエクオール産生・検出状況は、母の妊娠後期、産後1ヵ月時のエクオール産生・検出状況共に関連を認められませんでした。
■今後の課題と展望
本研究では、エクオールの原料となるダイゼイン摂取量との関連なく、妊娠初期から後期にかけてエクオール産生者は有意に増加しており、妊娠中の腸内細菌叢組成が初期から後期にかけて大きく変化したため、エクオール産生者の増加に寄与した可能性が考えられました。
また、児からのエクオール検出については、出生直後は臍帯血を介して母体から移行した可能性があります。一方、生後半年から1年にかけての上昇は、大豆の経口摂取開始や腸内細菌叢の変化に伴う影響と推察されます。
母児のエクオール産生状況について関連性は認めなかったが、本研究は生後1年までの研究であり、長期的な検討も含め、今後さらなる検討が必要と考えます。
当社は、生活習慣や行動変容とバイオマーカーとの相関性を解明し続けるとともに、生活者の毎日の健康に寄り添った検査サービスを展開することで、生活習慣のミスマッチをなくし健康な社会を実現できると考えています。今後も、腸内環境の変化に伴う妊婦・胎児への影響の更なる解明に努め、妊婦さん・赤ちゃんにより良い情報、製品の提供に貢献出来ると期待しています。
【共同研究メンバー】
・よしかた産婦人科 院長 善方裕美先生、井畑穰先生、上原萌美先生
https://www.yoshikata.or.jp/
・新潟医療福祉大学 健康栄養学科 助教 渡辺優奈先生
https://www.nuhw.ac.jp/
※2022.09より千葉県立保健医療大学 栄養学科に講師として異動
https://www.pref.chiba.lg.jp/hoidai/
・株式会社ナチュラルサイエンス
https://www.natural-s.jp/
・株式会社ヘルスケアシステムズ
エクオール検査「ソイチェック」について
エストロゲンによく似たはたらきをする「エクオール」は、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる成分。
体内でエクオールを作れるかどうかには個人差があり、日本人では2人に1人の割合と言われています。「エクオール」がどのくらいつくれているかは尿を郵送する検査キットで調べることができます。
▼製品詳細
https://karadano-monosashi.jp/check-kit/soy-check/
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ヘルスケアシステムズは、女性の健康にも深く関係する大豆イソフラボン由来の成分「エクオール」について研究しています。2012年に「エクオール」を尿から測定できる検査キット『ソイチェック』を開発。一般に向けて販売を開始すると、更年期世代の女性を中心に利用者を増やし、今や検査数は累計50万件以上に上ります。
自分自身の体内の状態を”見える化”することで、健康的な行動を起こすきっかけにしてもらいたいと、女性活躍や健康リテラシー向上に取り組む企業や自治体と連携して、一人ひとりに合う健康行動の提案やサポートを行っております。
本件に関するお問合せ
株式会社ヘルスケアシステムズ 広報担当 高実子(たかじつこ)
MAIL : pr@hc-sys.jp
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